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振り子室
振り子室内のラベル
明治時代後半から大正時代を経て昭和30年代前半頃まで、名古屋近辺では時計製造業がとても盛んな時期がありました。
その中でも明治24年創業の林時計製造所は、始祖と言われる『時盛舎(明治20年創業で日本初の本格的な掛時計量産工場を設立した会社)』を前身とする時計製造会社です。
こちらはその最初期に作られた『金筋鋲打合長』と呼ばれるタイプの柱時計です。本体には全体に「杢引き」と呼ばれる木目状の塗装が施された上に、金筋と呼ばれる金箔のラインと、八角の角部分に装飾が施された鋲が打ってあります。
この鋲は脱落(欠損)しがちなので、全て残っている物は珍しいと思います。
振子室内のラベルには「HAYASHI ICHIBE(創業者の林市兵衛)」、 ボン針台には「AITIKEN HAYASHISEIZO」の文字があり(画像4枚目)、共に明治20年代後半の初期製品の特徴を示しています。
振り子の玉は平面ではなく細かな模様が入っています。
背面には大正9年7月に修理をした時計店のラベルが貼ってあります。
文字盤の変色や染み、金筋の剥がれ等経年による痛みは各所にありますが、120年以上の長い時を経た国内メーカーとしては最古クラスの品である事を考慮すると、全体の程度としては比較的良い状態だと思います。
時打は正時(0分)に時刻の数、やや高めの「ゴーンゴーン」という硬めの音色で、この時代の特徴である少し早めのテンポで鳴ります。分解整備済み、振子・巻き鍵も付属します。精度は季節(気温)やゼンマイの巻き始めと解ける寸前でも変わりますが、きちんと調整すれば平均して±0から2-3分以内/日で作動しますので、充分日常的に使用する事が出来ます。サイズ/高さ:約47cm 幅:約31cm 奥行:約11cm (いずれも最大部)
価格:0円